たかがツキノワ熊

私の行く山塊には熊が生息する地域が多い。いわゆるツキノワグマ。
 北海道にはもっと獰猛な羆がいますが、私の行く山にはせいぜいツキノワぐらいと高をくくっていました。

 熊と言えば吉村昭さんの実話をもとに作られた「熊嵐」という小説は北海道の羆によって村が全滅した話です。読んだときは衝撃的でした。羆がひとたび人の味をしめるとムジャムジャ食べるって! その時は、遠い昔話と思っていました。

そして、実際登山中にクマに出くわしたら終わりだなあと、他人事のように考えていましたし、死んだマネでもするか!ぐらいしか考えずに、数十年。幸いにも近接で熊に出会ったことがなかったのは不幸中の幸いかもしれません。

されどツキノワ

 あるとき、私の友人の知り合いが東北でソロでトレランをしていた時に、いきなり後ろから熊に抱き付かれ大けがをした話を聞き、私の心にも俄かにに現実味として感じるようになりました。その出来事は、こうです。
 ある日、トレランで山を走っている時に、いきなり後ろから抱き着かれたそうです。その衝撃を振り払った勢いで、山道から転げ落ちたそうです。一緒に転げ落ちた動物の姿を見て初めて熊だとわかったらしいのですが、気が動転しながらも崖を登り山道までたどり着いて下を見ると、先ほどの熊も崖を登ってこちらに向かってきたそうです。その時にとっさに大声を出したため、熊は反転し崖を降りて行ったそうです。命には別条がなかったものの顔を引っかかれて大怪我をされたという事です。

 その話を聞いてからというもの、正直熊が怖くなりました。そして熊の本を読み始めました。熊の被害を分析した本ですが、被害者は熊に引っ掛かれただけでも骨まで出てしまうほどの怪我をするらしいことを知り、登山中の熊被害も多いと書いてありました。あまりにもノー天気な私が恥ずかしくなりました。知らないという事がいかに恐ろしいことなのか。

恐怖と対策開始


 考えてみれば、若い頃にちょくちょく見かけた野犬の群れやイノシシなども出くわすと心臓が飛び出すほどの恐怖です。最近は女性の単独登山も多く、それはそれでいいことですが、今の世の中暴漢に襲われないとも限りません。

 改めて私の良く行く関西の山を考えてみると、ツキノワ熊の生息地です。しかも単独行が多い私は、「まあ出会うことは無いだろう」くらいの感じではまずいと思うようになりました。

 そこで、私の熊対策の開始です。その装備をご紹介します。

まずは、熊鈴から。


 これはある人は効果がないとか、かえって人がいるので興味を示して寄ってくるとかの話もあります。専門家によれば臆病なツキノワに関しては効果があるという事に納得しています。自分がいることを熊に知らせることは重要だとも言われています。結構登山者も熊鈴はつけておられる方も多いようですね。熊鈴の音も高い周波数の方がいいと聞きました。人が多くおられる場所ではうるさいでしょうから音が止められるような機能付きがベターと思います。私は鈴の音を止められる高音の美しい音色の鈴をつけています。歩いていても心地よい音です。

私が実際に使ってよいと思った熊鈴です ↓

そして熊スプレー

 そして、熊スプレー。スプレーも暴漢用の催涙スプレーと羆にも効果があるスプレーがあります。私は里山歩き専用に、いわゆる護身用のスプレー(小型で噴射時間は2秒程度)を持ち歩いています。

私が使ってるもの ↓


そして、熊の多く生息している地域を歩く時は、熊スプレー(中型で噴射時間は7秒程度)を持っていきます。噴射距離は5~7m。比重が重いのでしょうか噴射したものが舞い上がることもないようです。但し、風上に向かって噴射する場合は要注意ですが。

私が使っているもの ↓

 スプレーはショルダーストラップに取り付けて、即座に取り出せるようにしています。

 登山者の標準装備としてもっておくことをお勧めです。これで安心!備えあれば患いなし。


投稿者

yamatano

1958年(昭和33年)生まれ 近畿の山々2,000m以下の低山のあらゆる尾根や谷からアプローチする山登りをしています。六甲山は250回以上、金剛山は400回以上、大峰、台高、鈴鹿の山々を主体に、登るブッシュハイカーです。

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